法   要
−仏壇の購入で注意することは?

●なるべく忌明けまでに購入する
   納骨すると,白木の位牌は寺院へ返され,それに代わって漆塗りの本位牌を仏壇に安置することになります。
   仏壇がない場合は,それまでに購入するのがいいでしょう。
●仏壇は部屋の広さなどによって選ぶ
   どの宗派も仏壇の大きさにはこだわりませんが,教義に沿うものであることと部屋の広さや経済状態などを考えて選ぶようにします。
   仏壇には,大別して塗仏壇と唐木仏壇があります。
   塗仏壇は,漆塗りや金箔仕上げで,内部に美しい技巧が施された「荘厳作り」になっています。この種類は,真宗の家庭に多く,また関西地方を中心に東海,北陸地方に多いものです。唐木仏壇は黒壇や紫壇,桑,胡桃などの材質を使い,木地を生かした渋味のあるもので,塗仏壇に比べて小型です。
   大きさは,大,中,小のサイズがあり,台つきのものや上置きのものがあります。また最近は,団地やマンションに合うような家具調仏壇も見られます。地方や宗派でふさわしい仏壇が異なりますから,菩提寺に相談し,置く場所もよく考えて購入するようにしましょう。
●仏具も一緒に買い求める
   揃える仏具は,宗派によって違いがありますが,日常の礼拝に欠かせないものが,本尊と位牌,燭台 花立て・香炉の三具足です。これに加えて,ご飯を供える仏飯器,供物をのせる高坏,鈴を揃えておいたらよいでしょう。ほかに茶湯器,霊供膳,マッチ消し,過去帳などがありますが,徐々に揃えていけばよいでしょう。これらは,仏壇の大きさなどで選びます。
   本尊は,宗派で異なりますから,菩提寺で相談し,購入後に開眼供養をしてもらいます。
●位牌は宗派によって選ぶ
   位牌には,札位牌,繰り出し位牌,屏位があります。札位牌は,故人一人ずつを書き入れたもの。繰り出し位牌は,位牌を何枚も重ねて収納し,祥月命日の故人を順番に繰り出して供養するもの。屏位は,複数の故人を並べて書き入れたものです。位牌は仏壇に祀るのが一般的ですが,浄土真宗では,位牌は祀りません。位牌は,菩提寺に相談して,種類を選ぶようにします。

仏壇の価格
   安いもので二〜三万円台,高級なものでは何千万といった別注品をつくることもできます。新しく家を建て仏壇を新調する場合,建築費の一割程度を仏壇にあてるといわれた時代もありますが,四千万円のマンションに四百万の仏壇というのは,よほどの篤信者でないかぎり負担が大きすぎます。一般的には五十万〜六十万円の手頃のものが多く出ているようです。

−仏壇は家のどこに安置する?
●家族の団らんのなかに安置する
   仏壇は,清らかで,落ち着いて礼拝できる場所に安置するのが基本です。いつも家族といっしょにあることも大切です。
   安置する方角として次の三つの説がありますから,それらを考慮して安置するとよいでしょう。基本的に湿気が少なく,日当たりのおだやかな,落ち着いて礼拝できる場所を選びます。
@西方浄土説 礼拝すると,西にある極楽浄土を拝むことも兼ねていて,仏壇を東向きに置いて,西に向かって拝みます。
A本山中心説 礼拝するときに自分と仏壇を通して引いた線が,本山の方角を指す位置に安置します
B南面北座説 仏壇を南に向け,北に向かって礼拝するようにします。
−仏具はどのように飾る?

●上座に注意して飾る
   一般的に礼拝する人から見て,中央が最上座。右側は左側よりも上座になります。
   上段の中央に本尊を,その左右に脇侍を祀りますが,宗派によって異なった決まりがあります。脇侍の前に位牌を安置しますが,位牌が複数ある場合は,古い先祖を向かって右に祀ります。
   三具足は,向かって右にろうそく立てを,中央に香炉を,左に花立てを飾ります。五具足の場合は,花立てとろうそくを左右対象に置き,鈴はろうそく立ての右に置きます。

仏壇を用意できなかったら?
   さまざまな事情で仏壇を用意できないこともあります。そのようなときは,部屋の適当な場所に小机などで壇をつくり,位牌と三具足を並べます。季節の花を飾って毎日礼拝すれば,それが何よりの供養となります

仏壇を買い替えたら?
   古い仏壇に入っていた本尊や位牌の遷座(他へ移す)法要を僧侶を招いて行い,新しい仏壇にそれらを移します。不要になった仏壇は,仏壇屋に引き取ってもらいます。供養してからは焼却してくれますので,ふつうのごみと同様に捨てないようにしましょう。

仏壇の手入れはどのように?
   一週間に一度くらいは掃除をしたいものです。掃除を始める前に,まず合掌礼拝をします。
   脂や指紋が金箔の部分に着かないように,薄い手袋をはめます。柔らかい乾いた布でぬぐいますが,湿気をきらいますので気をつけましょう。金箔の部分は,筆や羽バタキを使うとよいでしょう。燭台や鈴は,真鍮みがき剤で一か月に一度くらいは磨きましょう。