結婚のマナー

婚約

−婚約記念品にはどんなものを?
●男性から女性へ贈る記念品は婚約指輪が主流
   正式婚約として,本人同士が婚約記念品を交換する方法があります。結納品も記念品と考えられますが,記念品の交換をもって正式婚約とする場合には,現金ではなく婚約の証しとなる品物を取り交わすのが特徴です。最近では結納に記念品を添えたり,婚約式や婚約披露パーティの席で記念品を交換するなど,さまざまな形で婚約記念品を取り交わすケースが増えてきています。
   婚約記念品は,男性から女性へ贈る場合と女性から男性へ贈る場合では,品物や金額の設定に違いがあります。男性から女性へ贈る品としては,やはり宝石の入った婚約指輪が圧倒的な人気です。婚約指輪を贈る習慣が日本で一般化したのは一九六〇年前後から。もとはキリスト教徒が婚約する際に行う習慣で,目に見えない愛の誓いを指輪で表すという重要な意味があります。
   婚約指輪を選ぶ場合には,硬度の高いダイヤモンドが最適とされていますが,女性の誕生石もよく使われます。もちろん,こういった宝石以外にも自分の気持ちを託すのに通したものや,相手の女性に似合うもの,また好みも考慮して,予算に応じた指輪を選べばいいでしょう。
●心の込もった品を贈ることが何よりも大切
   男性から婚約記念品を贈られたら,女性からも当然記念となる品を贈ります。品物は,宝石入りのタイピンやカフスボタンなどの装身具,スーツや時計などが一般的です。ほかに,楽器やカメラ,OA機器,書籍などの趣味や専門の品を贈ることもあります。なかなか決まらない場合には,直接相手に何がいいか尋ねてもかまいまん。金額的には,男性から贈られた品物の半額程度を目安に考えればいいでしょう。
   しかし何よりも大切なのは,何を贈るかよりも,いかに心が込められているかということ。分不相応な品物を贈ったからといって,必ずしも相手に喜んでもらえるとは限りません。かえって相手に負担を与えたり,無用の心配をかけることにもなりかねないでしょう。婚約記念品は交換するのが原則ですから,現在の自分の経済力に合わせて自分らしさを表現できるような品選びをし,そのうえで相手の好みに合わせるほうが,自分の気持ちをストレートに伝えることができるはずです。

−婚約記念品の交換はどのように?
●お互いの誠意と気持ちを表現できる方法で
   記念品の交換を婚約の証しとする場合には,正式婚約にふさわしい格式に整えたいもの。いくら婚約が二人だけの問題であるにしても婚約の誓いである以上,お互いの誠意や相手への気持ちを表現できる形で取り交わすようにしましよう。
   それは,本人同士の誠意がお互いに正しく受け取れる形であり,周囲の人々にも納得してもらえる形にしたいもの。二人で自分たちの考え方や気持ちにふさわしい方法を話し合って決めることが大切で,それが二人にとっていちばん正式な婚約の方法といえるのです。
●できれば父母などの立ち会いのもとで交換を
   正式婚約記念品を交換するには,進呈目録を添えるのがいちばんです。目録は,縦二つ折りにした奉書紙の折り目を下にして書きます。目録と書いたあとに贈り物の品名と個数,日付,そして贈り主と贈る相手の姓名を記します。贈り物の意味をはっきりさせたい場合は「婚約のしるしとして」などの添え書きをつけるといいでしょう。この紙を三つ折りにして,もう一枚の奉書紙または檀紙に包んで表に「目録」と表書きをするのがもっとも正式な形です。贈る品物は二枚の奉書紙で包んだ上に,金銀の水引十本を結び切りにします。略式ののし紙は婚約などの大切な贈答には使いません。
   贈り方は,目録と記念品を片木盆か白木台に載せて相手に渡します。スーツなどの大きな品物を贈る場合には目録だけを手渡すようにして,品物は上座に飾ったままでもかまいません。本人同士が交換すればいいとはいえ,せっかくの婚約の証しですからできれば証人として双方の親など,親しい人たちに立ち会ってもらって交換するのがいちばん望ましい方法。第三者が立ち会う場合には,結納を一か所で交換するときと同様の方法で行えばいいでしょう。
 


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